いやあ、あの指輪は・・・、なんていうかなあ?

 

 ちょっと不思議なパワー? みたいなものを持っていたっていうか・・・、なんかちょっと特別な感覚がありましたよ、確かに」

とホンジョウさん。

 「ありがとうございます」

 「ああ、ホンジョウさん。

 

 また何かジュエリーのご希望があったら、直接彼に依頼してあげてね?」

 「あ、ああ。

 

 はい」

 「ああ、これ。

 

 よかったら、よろしくお願いします」

と言ってテルヤマは彼の工房の地図が載ってると書かれたハガキサイズのブローシャーをわたしたちふたりに手渡してきた。

 「ああ、ど、どうも」

と言ってわたしたちはそれを素直に受け取る。

 「それじゃあまた。

 わたしたちはこれからちょっと、打ち合わせがありますので」

と言って、サキエ先生とテルヤマはわたしたちから数メートル離れた奥のテーブルへと席を移動した。

 

 「おい? マキ? 

 どうした? 

 

 なんかボーッとしてるけど・・・」

 「えっ? 

 あ、ああ・・・。

 ってねえ、ホンジョウさん? 

 これはもしかしたら・・・、何かのヒントになるかもしれない、ヒカルさんの失踪に関する」

 「えっ? 

 な、何が?」

 「うん。

 

 それが・・・、今のホンジョウさんの知り合いのサキエ先生って人が連れてたテルヤマってオトコのことなんだけど」

 「ああ」

 「あの人わたし・・・、何処かで見たことがあると思ってたら・・・、それがあの、あのヒカルさんが失踪した日にわたしたちが最後まで一緒にいた軽井沢の神山珈琲館ってカフェでのことなんだけど・・・、わたし、あの彼のこと目撃してるのよ。

 

 そのまさにあの日、彼女がいなくなったあの瞬間に、あの場所で」

 「か、彼って?

 ええ? 

 

 う、嘘だろ?」

 「間違いない・・・、そう絶対に間違いないと思う」

 「いやでもオマエ、むこうはそのこと、何も気づいてなかったのか?」

 「さあ、それはどうかな?」

 「何?

 

  じゃあその時、話とかは別にしてないってこと?」

 「うん、全然」

 「そ、そうなんだ・・・。

 

 って、それでよく憶えてたなあ、オマエ?」

 「うん・・・、まあ、それがなんていうか、ちょっとその時の彼のオーラがちがってたっていうか? 

 わたしにもよくわかんないんだけど・・・、なんでだかずっと彼のことが気になってて」

 「ああ、まあ、オマエ好みのアーティスト風イケメンだもんな、アイツ」

 「ち、違うわよ!

 そ、そうじゃなくて」

とホンジョウさんにいきなり自分の図星を指摘され、わたしは不覚にも赤く火照っている自分の両頬を自覚する。